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深江で大規模に米・麦・大豆を作っている若く活力のある農家、松崎治久さん。家族・従業員さんと一体となって、明るくかつ真剣に農業に取り組んでおられます。治久さんの発想力とそれを実行に移す行動力、そして常に新しいことに挑戦し続ける姿に、地域の食を支える農家としての素晴らしさを感じました。“百年続く笑いのある農業”を目指す「百笑屋」としての治久さんのチャレンジ精神には、これからの二丈を支えるパワーとなっていくと思います。

PART3

キツイことを乗り越えて。そして「百笑屋」のこれから・・・

学生:仕事のやりがいと苦労をお話ししていただけませんか?

 

松崎:やりがいはかなりあって、まわりの人ができないことができたときの達成感と、壊(こわ)れたものが直せたときの達成感と、まぁあとは、収穫できる喜び!で、苦労が多い分その喜びは大きくなる。おれは休みがなくてもいいかなって思うくらい。周りの人ができないことができたり、壊れたものが直せたりってときのアルファ波っていうのかなぁ、それは休み3倍くらいに相当する。(笑)

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学生:では、毎日が楽しいという感じですか?

 

松崎:それがね…、ぼくの大事なところです。「“K”の理念」っていう言葉。

 

学生:K?それはどんな意味なのですか?

 

松崎:農業の大変さを表現するような言葉に「きつい・きたない・きけん」とかいうのがあって、その頭文字をとって「3K」って言ったりするんやけど、おれはそれを逆にとって、「きつい・きたない・きけん」プラス「悔しい」とかいうのを足して、それらを乗り越えた数、乗り越えた量、大きさによってその人のキャパが変わると思うんよね。

 

学生:なるほど。それらのマイナスイメージの言葉を、自分自身で乗り越えてみせる。それが自分のさらなる成長につながるということですね!新しい考え方ですね。治久さんもそれらを乗り越えて、キャパが大きくなったなどと感じておられますか?

 

松崎:実際父ちゃんはおれがもの心ついたときから、嫌がること・キツイことをひたすらおれに投げかけてきた。それで、耐える能力であったり超えていく能力っていうのをおれに身に着けさせよったと思うんよ。

 

学生:治久さんのチャレンジ精神もそこから鍛(きた)え上げられたのかもしれませんね。

 

松崎:そうかもね…。馬淵(まぶち)さん(友達)が、「キツイことにぶち当たったら普通人は逃げることが多いっちゃけど、それに立ち向かうのが治久くんやね。きっと立ち向かうことで大きくなれる、成長できる自分がおるっちゃないかな。治久くんは“挑む人”である。」っていつか言ってくれたんよね。まぁよく言ったら、そうなんじゃないかなと思います。そんな感じで“K”の理念という表現が出てきたのかな…。

 

学生:なるほど。治久さんの、これだけは負けてない!と思うことは何かありますか?

 

松崎:他人との勝負じゃなくて自分との闘(たたか)いやけんね。その中でも気持が大事かな。妥協(だきょう)しないっていうところ。おれたちは植物を「育てている」んじゃなくて、植物は水・土・空気があれば育つから、よりよく育ってもらうための「手伝い」をしようっていう気持ちがあって。時間帯とか関係なく、植物本位(ほんい)・植物中心に仕事をしている。まぁそんな意味で手を抜かない、妥協しないというところです。

 

学生:治久さんにとって二丈で働く魅力とは何ですか?

 

松崎:まずは、大消費地(福岡市内)に近いところかな。それからJRが走っていて交通の便が良い。消費者をこちらに呼んで交流もできる。

 

学生:治久さんのところでお客さんを呼んで餅(もち)つきとかをしている行事も、つながりをもつためですか?

 

松崎:絆・懇親(こんしん)を深める。お客さんのニーズをよりリアルに聞ける。もっとこんな風にしてほしいなとかいうのが聞けるから。お互い、情報発信の場であり、キャッチの場でもあり。長く付き合っていけるように手を繋(つな)ぐ場っていう感じです。

 

学生:他に子どもたちに伝えたいような魅力はありますか?

 

松崎:あとは、地域の魅力としては、ウナギやドジョウがまだいるっていう環境。イノシシくんは出すぎて困るけどね…笑 自然は本当に豊かやね。

 

学生:今までずっと二丈に住んでおられて、これからもここに住みたいと感じていますか?

 

松崎:おれは、ここにおれば生きていけるって感じ。食・住はどうにかなるんやないかなと。じいちゃん、ひいじいちゃんがやってきてくれたから、今のおれがあるっていうのはあるね。懸念(けねん)しているのは、若者が外に行って帰ってこないことやね。せめて「住」だけでも置いといてくれたらいいけど、市内に家ごと引っ越してしまう。そうしたらね、伝統行事が守っていけんくなるんよね。リアルな問題です…。

 

学生:やはり、出ていく人が増えているのですね…。今後の、10年、20年先どうありたいとか、そのような未来のことって考えていらっしゃいますか?

 

松崎:考えてます!考えていますが、まだ夢の話だよ!

具体的なことはまだ公表できんけど…、簡単に言ったら、百笑屋の商品を買うことによって地域に新たなお金が落ちるようなことをしたいと思っていて。農業だけをするんじゃなくて、より地域貢献につながるようなアクションを起こしていきたい。それで、百笑屋のマーク書かれた袋を持って帰りよう人たちが、通りすがった人から「わー、あの人百笑屋で買い物しとんしゃぁ!すっげー!」みたいな、「いいなぁ~」って言われるようにもなりたいな。

 

学生:新しいビジネスじゃないですけど、何か地域を活性化させるようなことを?

 

松崎:そうね。多くの人に百笑屋のブランドを知ってもらって、自分の商品を通して地域にもっと活力を与えられたらと思っています。

 

学生:「百笑屋」ブランド、これからも応援しています!!今日は長い時間どうもありがとうございました。

<取材をしてみて…>

治久さんとはAPiQ!!で以前からお世話になっておりましたが、今回の取材では今までに以上に深いお話をお聞きすることができました。特に幼少期から機械が好きだったこと、学生時代で学んだことなどの話は印象的でした。地元に根付きながら百笑屋のコンセプトらしく家族一体となって二丈の食を支える治久さん。好奇心と底抜けの明るさを持って農業に取り組む姿に“かっこよさ”を感じました。

記者:もっち

撮影:もずく

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